左手専用キーボード3製品の比較

そもそも左手専用キーボードってなんやねん

 前回の記事でPCゲーム用の左手専用キーボード、「G13 Advanced Gameboard」のことについて触れました。そもそも何のためのものやねん、ということについては前回触れたとおりですが、もう一度おさらいしてみます。
 PCゲームと一口に言っても、例えば「信長の野望」や「クドわふたー」のような、マウス操作だけでも特に問題なくプレイできるものもありますが、中にはキーボードをごりごり使わないととてもじゃないけど遊べないようなものも数多く存在します。状況に応じた即座のコマンドを求められる「Call of Duty」や「Grand Theft Auto」などのFPS、即時性はそこまで高くはないがいかんせんコマンド数の多い「Civilization」や「Command and Conquer」などの海外製シミュレーションゲームなどが代表例です。
 例えば手許にある「Civilization4」のマニュアルを見ても、ショートカットキーの一覧だけで4ページも費やしています。しかも、しばしば連続して使うような機能のショートカットキーがまったくばらばらのところにある、などということも珍しくありません。もちろん右手はマウス操作に使わなければならないため、左手だけで広いキーボードの全てを守備するのは無理があります。
 そこで考え出されたのが左手専用のキーボード。左手で充分カバーできる範囲にキーを敷き詰め、Ctrl+Alt+Wのような複雑怪奇なショートカットもキー一つで代行してくれる優れものです。また、Ctrl+Aの直後にCtrl+B、のような一連の流れまでキー一つで実現できるとあって、ゲームだけに留まらず、様々な場面での活用が期待できるわけです。現に僕自身はTwitterクライアントとFirefoxの操作用として購入しました。Photoshop用に購入したという方なんかもいるようです。
 今回はそんな左手用キーボードから3製品をご紹介。また、似たようなコンセプトのフルキーボードやその他の製品をまとめたレビューもありますので、そちらも併せてどうぞ。

各製品の概要

 G13のような左手専用キーボードは、他にBELKINの「Nostromo SpeedPad n52te」やSaitekの「Cyborg Command Unit」などがあります。メーカーはG13のLogicoolに比べると両者ともややマイナーで、店頭ではあまり見かけないかもしれませんが、ソフマップなどのPC系に強い大手家電量販店に行けば売っているはずです*1。また、この3製品についてはamazonでも取り扱っているようです。
 まずは3つの製品に共通してついている機能をざっとまとめてみましょう。キーの数は20前後、各キーにCtrl+A→Ctrl+Cのようなキーストロークを設定できるほか、特定のプログラムを起動したり、ファイルやフォルダを開くといった命令も割り振ることができます。ソフトごとに別々の命令を設定できるため、例えば右上のキーを押したときの機能も、Illustratorを使っているときはパスファインダの追加、Firefoxでは右側のタブを全消去、それ以外では音量をミュートに、といったような非常に柔軟な設定も可能です。また、モード切替機能も装備されているため、モード1とモード2ではまったく別々の機能を割り振るというようなこともできます。3製品ともにモードの数は3つ用意されているので、キーの数約20×モード数3=およそ60通りの命令をソフトごとに別々に割り当てられるというわけです。

オンラインゲームを捨てて自由度をとるか――G13

LOGICOOL アドバンスゲームボード 16万色対応バックライト G-13
 では次に、各製品の特徴や欠点を一つづつ見ていきましょう。まずはLogicoolのG13ですが、この製品の長所はなんといってもその自由度の高さ。通常のマクロの他に、Luaによるユーザースクリプトにも対応しているため、やろうと思えば前回の記事で公開した文字入力スクリプトのようにかなり自由な使い方が可能です。また、スティックにマウスカーソルの移動を割り当てることも可能。マウスも必要なくなって、左手だけでたいていの操作が可能になります。さらに、設定ソフトを起動せずともその場でマクロを登録できる「クイックマクロ」なる機能を搭載しているのも特徴。いちいちゲームを中断することもなく、必要に応じた対応がすぐにとれるのが魅力です。そしてこの製品を見たときにもっとも目を引くのが、上部にあるLCDモニター。ゲーム内のステータスや新着メッセージなどを表示できるほか、再生中の曲やCPUの使用率などを表示することもできます。これもLuaによるユーザースクリプトで自由に設定が可能です、が、あまり実用的な用途は思いつきません。主に「何だかかっこいい」担当といったくらいのものだと考えておくのが一番でしょう。
 そんなG13の欠点ですが、困ったことに3製品の中では今のところ唯一、nProtect*2に弾かれてしまうというそれなりに深刻な問題も。オンラインゲーム以外の用途での使用を考えている方なら問題ありませんが、オンラインゲームに使う分には致命的です。また、キーの押しっぱなしに対応していないという点も大きな減点部分。たとえばあるキーを「w」キーに割り当ててテキスト入力時にそのキーを押し続けても、「w」としか入力されません。決して「っっっっっっっっっっっっっw」とはならないのです。一応マクロをリピートさせることで対応できなくもないですが、やはり不完全な動きは避けられません。とはいえそんなデメリットをしっかりカバーできるほどに優れた機能を搭載しているというのもまた事実。オンラインゲームはあまりやらない、ユーザースクリプトを駆使して俺専用機を作り上げたい、という方には一押しの製品でしょう。(画像はG13 Advanced Gameboard)

Di button対応が短所をもみ消す――n52te

BELKIN ゲームパッド Nostromo スピードパッド n52te F8GFPC200QE
 次にBELKINのn52teですが、こちらの特徴は3製品の中で唯一ホイールを装備しているという点。当然マウスホイールの機能を割り当てることが可能です。これがあるとないとで作業効率にじわじわと差が出てくるスルメ機能。さらに「ゲームパッド」としても認識されるため、通常のキーの他にDi button(ゲームパッドのボタン)を割り振ることも可能です。ただしDi buttonに割り振ったキーの同時押しはできない模様。また、デザインが何だか未来的でかっこいいというメリットも。やはりゲーマーたるものかっこいい機械に囲まれてスーパーハカーのように振る舞いたいものです。その点このn52teは50年後のチバシティにあってもおかしくないようなハイセンスなデザイン。
 ただし、この製品については細かな欠点も目立ちます。まず、一応スティックは8方向へ動かせるものの、3製品の中で唯一マウスカーソルの移動に対応していません。とはいえ先ほど述べたn52teの「Di buttonを割り当てできる」というメリットを使えば、擬似的にですがマウスカーソルの移動にも対応できなくはありません。JoyToKeyという、ゲームパッドのボタンにキーやマウスの動きを割り当てるというソフトが存在します。これと併用することで、例えば「n52teのスティックにゲームパッドの十字ボタンを割り当て、JoyToKeyで十字ボタンにマウスカーソルの下移動を割り当てる」と2段階の割り当てを行うことで、n52teでもマウスをぐりぐり動かすことができます。また、設定ソフトがかなり取っつきにくいようで、慣れるまでには時間がかかるかもしれません。ただ、そのソフトも慣れてさえしまえば愛着のわく未来派デザイン。n52teとJoyToKeyで未来を演出するのもいいかもしれません。(画像はNostromo SpeedPad n52te)

安定しすぎてデザインに不満?――CCU

SAITEK GAME PAD Cyborg Command Unit
 最後にSaitekのCyborg Command Unitですが、なんといってもその特徴は合計命令数の多さ。他の2製品がソフトごとに合計80程度というなか、この製品だけはソフトごとに120以上の命令を設定できます。その秘密はシフトキー。キーの数自体は20ですが、シフトキーを押した場合通していない場合とでまったく別の命令を割り当てることが可能なため、命令数は一気に40へと膨れあがります。もちろん3モードに切り替え可能というお得感あふれる一品。また、アナログスティックにはマウスカーソルの移動を割り当てることも可能。右手がばっちり空きますね。やったね*3
 そんなCyborg Command Unitですが、欠点という欠点は見当たりません。強いていえばn52teほどではないものの設定ソフトが分かりにくい、有り体に言ってしまえば「ダサい」ようです。何だかよく分からないけど未来派なn52teとは異なり、こちらの設定ソフトはまるで表計算ソフトのような無骨さがあります。また、ハード自体も他2製品と比べるとやや無骨な印象。とはいえ、デザイン面での不備さえ目をつぶれば、その他には特に残念な点が見あたらないというのもこの製品の特徴でしょうか。(画像はCyborg Command Unit)

表にしてみた

製品名 G13 Advanced Gameboard Nostromo SpeedPad n52te Cyborg Command Unit
メーカー Logicool BELKIN Saitek
キー数 24+方向キー 16+方向キー+ホイール*4 20+シフトキー+方向キー
方向キー 4方向+トリガーボタン 8方向 アナログ
モード数 3モードに切り替え可 3モードに切り替え可*5 3モードに切り替え可
合計命令数 (24+5)×3モード=87 (16+8+3)×3モード=81 20×2×3モード=120以上*6
キーマクロ ◎(クイックマクロ機能つき)
スクリプト *7 × ×
マウス操作 クリックのみ*8
nProtect ×
バックライト 好きな色に光る 青く光る モードごとに色が変わる
液晶パネル × ×
その他 キーの押しっぱなしは非対応 設定ソフトが使いづらい ソフト・ハードのデザインが△
対応OS WinXP/Vista/7/MacOS X WinXP/Vista/MacOS X WinXP/Vista
サイズ 171×243×41mm 情報なし 140×210×45mm
価格*9 6680円 6644円 5980円
レビュー 4Gamers / ASCII.jp 4Gamers / ASCII.jp 4Gamers*10 / ASCII.jp

BELKIN ゲームパッド Nostromo スピードパッド n52te F8GFPC200QE

BELKIN ゲームパッド Nostromo スピードパッド n52te F8GFPC200QE

*1:ソフマップ京都店で両者ともに確認しています。

*2:オンラインゲームでの不正行為の監視・防御を行うソフトウェア。キーマクロによる不公平の大きくなるMMOや、韓国製のオンラインゲームによく導入されている。通称nPro。

*3:わからないひとは、おとうさんやおかあさんにきいてみよう。

*4:前後回転とホイールボタンの3通り割り当て可能。

*5:n52teのみモード切り替え専用のボタンがないため、いずれかのキーに切り替え機能を割り当てる必要あり。

*6:アナログスティックを計算に入れず。

*7:プログラミング言語Luaを使用

*8:JoyToKeyなどの外部ソフトを使えば擬似的にカーソル移動も可能

*9:2009年9月30日現在でのamazon価格

*10:該当製品のレビューが存在しなかったため、以前のバージョンであるPro Gamer Command Unitの記事へのリンクを張っています。現行のバージョンには当てはまらない部分も多いのでお気をつけください。